夜の暗さが人を正気に戻すと信じたい
曇り空の上には青空がある。
人工照明に囲まれた街も、皮相でしかない。
鉄の塊を操って渋滞に突っ込む日々、あるいは、人であふれる電車に乗り込む日々。
もしくは、厖大な事務作業、次々襲い掛かるテクノロジーに忙殺される日々。
人は静けさを失い、暗闇を失い、自由を失って、
その事実に気付かないように
次々と目にし、耳にする、世の中の重大事(と思い込まされた)に合わせて思考を奪われる。
今の社会に生きるには、その世界に合わせていくしかないことは私も重々承知している。けれど、一歩引いて、そのような社会が皮相であり、私たちが生きるべきは、夜が暗く、鳥や獣の声を身近に聞き、風に吹かれて生きる、人権とか法律とかテクノロジーとか開発費とか人類とかグローバル経済とかとは無縁の世界であると念じながら人々が生きるようになれば、コロナ騒動など成立しえず、五輪に熱中することもない、新しい世界が誕生すると、私は信じたい。