雪に迷うトナカイの哀しい瞳
感情や心も、
この宇宙に生命が誕生し、
おそらくそれから一度も絶滅することのない歴史の中で
生命の変化・拡散とともに、
生まれ、変化してきました。
食べ物のおいしいマズイを感じる味覚が私たちの体の生育を助けるように、
感情の動きも、総体として私たちが生き延びるために役立ってきたはずです。
怒り、悲しみ、喜ぶ。
昔読んだ本の中で、アジアゾウの雄が大人になり、
女系家族である群れから追い出された後、
森の中で一頭で過ごす夜について書かれていました。
図体が大きくても、そうして群れを離れて過ごす夜は寂しく
オスゾウは泣くのです。
都会の暮らしの中で忘れてしまっていますが、
動物たちはそれぞれに心を持ち、
感情を持っています。
オオカミも雷を怖がり、
巣から出たばかりのカラスのひなは、
人の姿や見知らぬ場所に戸惑います。
人の利便性のために
交通事故による犠牲は受け入れてよいというのであれば、
多種多様な生物と暮らすという
本来の生き方のために、
未開社会に戻れというのは、
決して、
とっぴょうしもない妄想などではないと
私には思えてしまいます。