夏
先ほどまで降り注いでいた強い日光を雲がさえぎった。
それでも、吹きつける風は、熱いままなのであった。
干からびたように痩せた、よく焼けた男たちが、
それでも、なんだか元気な様子で歩いている。
日陰を求めて林床に降りた鴉たちは、
口を開けて暑さをしのいでいる。
昼下がりの公園に人影はなく、
蝉の声だけが響いている。
春にはまだ通ることのできた、人が踏み固めただけの小径は、
イネ科の草の葉に覆われてしまった。
夜になっても暑い中でやぐらを組んで太鼓をたたき、盆踊りが開催される。
地域の子どもたちが集まり、キッチンカーもやってきて盛り上がる。
やぐらの上で手本を踊る大ベテランの女性陣。
見よう見まねで踊っていけば、次第に楽しくなってくる。
その場でぐるりと回ってみたり、踊りの方向を変えたりして、
幾重にもできた輪の中で老いも若きも男も女も、ゆっくりと体を動かして、
目に映る光景を楽しんでもいる。
寝苦しく、汗をびっしょりかいて起きてしまう日々。
体はだるく、スタミナをつけたいのか、さっぱりしたものが欲しいのか。
それでも、強い日差しと焼け付く風は、
計り知れないほどのエネルギーがこの世界を支えていることを
感じさせて、夏を好きにさせるのである。