ヒトの一生
女は20歳ほどで第一子を生み、
4年ほどはこの子と密着して過ごす。
二人目が生まれるのは25歳頃である。
こうして、第3子、第4子を産み、
第4子との密着生活を終えるのは、
40歳近くになってからである。
4人の子のうち一人は幼くして亡くなり、
もう一人、少し大きくなってから亡くなる。
この子の代わりに別の子をもうければ
密着生活を終える年齢はさらに上がることになる。
末子が独り立ちする頃、
親はすっかり老いている。
遊動する狩猟採集生活を捨てて
ヒトの生活はすっかり変わってしまった。
しかし、本来のヒトの生き方は
やはり、他の動物たちと同様に
子を産み育てることが
中心となった生き方であった。
じっくりと振り返ってみるなら、
このような生活にこそ幸せはあるのかもしれず、
このような生活を捨てて得た暮らしは
実際には質の低下した生でしかないのかもしれない。
私たちは世界を作り変えるのではなく
受け入れる生き方もできるであり、
そのとき、実は私たちも生かされるのであった。