自給自足生活の夢

私たちは

外の社会との接触を極力避けて

生涯を過ごします。

食べる物も着る物も住む場所も

私たちの身の回りの自然から得て暮らします。

私たちの暮らしは

文化的で健康な生活ではないという人もありますが、

私たちにとってこれは素晴らしい自由な生活です。

最近、私たちの暮らしを脅かす人々がやってきました。

聖職者というそうです。

私たちがこのまま暮らしていてはいけないそうです。

私たちが、森の精やトーテムを信じていることを

過ちであるといいます。

病気やケガを治す魔術を使う聖職者たちは

救うかわりに精やトーテムと決別せよと告げます。

こうして、改宗した私たちを待っていたのは、

自由きままに暮らしていてはいけないと告げる

国という存在でした。

木を勝手に切ってはいけない。

裸でいてはいけない。

獣を勝手にとってはいけない。

定住して子どもに教育をうけさせなくてはいけない。

ダムを作るために土地を離れなくてはいけない。

地下の資源を有効活用するために土地からでなくてはいけない。

こうして作られてきた現代社会で、

人は自給自足の夢をみます。

耕すことすら禁じてきた人々から

土地も食料も奪って、

賃金労働を押しつけてきたのが

現代社会であることを知りもしないで。