抽象概念は詐欺師への第一歩
言葉という不完全で癖の強い道具と付き合っているうちに
私たち人類は勘ちがい野郎になってしまった。
たとえば猫たちなら決して持たないであろう抽象概念を
私たちはこの世の真実を反映した言葉なのだと
思い込むようになってしまった。
私たちは、神、正義、平和、民主主義、権利などの言葉を使って、
自分を正当化する馬鹿ものになってしまった。
もしも、言葉によって伝えられることがなかったなら
一体どれほどの人が、
このような抽象概念を考えつくだろうか。
おそらくこのような概念を必要とすることは殆どなかっただろう。
動物たちは、そのような抽象概念は一切不要で、
状況やその場で感じられるものに従って行動すれば
結局それなりにうまくやっていけることを教えてくれる。
動物たちの有り様を見ると、
神、正義、平和、民主主義、権利などの抽象概念は
むしろ、でっちあげに近いということさえ見えてくる。
誰かが誰かの都合に合わせて作り上げただけで
納得できる根拠などありはしないのだ。
そんなでっち上げが通用するのは、
事実と経験を頼りに独自に理解していく作業を
個体ごとに繰り返すのではなく、
既に存在する抽象概念を根拠に法や制度、文化ができ上がり、
これに従わされるという
本末転倒が起きているせいなのだ。
私たちが抽象概念によってどれほど毒されているのかを
教えてくれる。
抽象概念は、詐欺師への第一歩なのだ。