規模が小さいことが必要
『ことばの起源:猿の毛づくろい、人のゴシップ』(ロビン・ダンバー著、松浦俊輔、服部清美訳、青土社、1998)によると、霊長類の群れの規模は大脳の大きさに比例しており、私たちホモサピエンスにとって適切な規模は150人程度であるという。
現実を見れば、私たちは150人を大きく超える群れを作って生活している。私たちが大きな群れを作ることが可能になったのは、毛づくろいという1対1のコミュニケーションではなく、言葉によってコミュニケーションをとることが可能になったからであるらしい。
そして、ここに重要な鍵が隠されている。
ピダハンは直接経験の原則に基づく世界観を作りあげている。THINKER氏は、マスコミとお金が人間を不幸にしているという。
事実、私たちの社会は、マスメディアによる情報の洪水、教育による幼少期からの価値観の植え付け、大学などの権威による知識の独占と取捨選択によって作り上げられているのである。
コリン・ターンブルは『豚と精霊』の中で小さな社会でなければ人は精霊として生きられないことを指摘している。
つまるところ、私たちが不幸になるのは、間接情報に頼って生きるしかない大きな社会に住んでいるからなのである。
人類にとって適切な群れの規模は、その大脳の大きさが示すとおり、150人程度なのである。