毎日出てゐる青い空

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維持費と支配の範囲

以前知った話に、

日没までに杭を打って囲んだ土地を自分のものにできると聞いて、

しゃにむに杭を打ち続け、結局死んでしまう男の話がある。

 

今なら、自動車とくい打ち機でも使うか、

アルバイトでも雇って広大な土地を手に入れるところなのだろう。

 

 

人類学関係の本を読んでいると

人間は複雑なようでいて

社会の原理は実に単純なのではないかと思えてくる。

 

狩猟採集民が平等な社会を築いているのは

大きな土地を一人で持っていても他者の侵入を防いだり

離れた場所で同時に実る木の実を一人占めしたりすることは

不可能であることと、

どんなに頑張ってみても一日に採集できる分量は限られており、

労働力と成果が見合わないからだけだったりしそうである。

 

農耕民になると、狭い土地を守るだけでよく、

投入した労働力と収穫とに正比例関係が生まれてくる。

この結果貧富の差が生まれ、

富める者はさらなる富を求めて

一夫多妻制に移ったり、

儀礼や祭礼を司るようになる。

 

貨幣経済が進展すれば

さらに貧富の差が拡大する。

いつまでも保存の利く貨幣は、

金の力で金を増やす循環を生み

膨れ上がっていく。

ただし、移動手段、通信手段などの物理的制約があるために

巨大な組織を長期間維持し続けることは困難である。

 

移動手段も通信手段も整備され

人々の行動を隅々まで管理できるとなれば、

ついに地球規模での支配が可能になる。

 

人々を利用して支配システムを維持する必要があるため

支配者たちは、存在を隠し、

人々の意欲も刺激しながら支配を続けるように

工夫をこらすだろう。

しかし、

支配者以外の人々が搾取の対象としてだけ

生を許される点は一貫するだろう。

 

昨日書いたように、

この世に哲人は存在せず、

思いやりを持った支配者の登場を期待することは無益である。

 

ここに、私が、

科学技術の発展を望まず、

狩猟採集の生活に戻る以外に

人類に明るい未来はやってこないと

考える思想的根拠がある。

 

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