毎日出てゐる青い空

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人が定住できるようになったことが、現在私たちが直面している苦難の始まりだったのか?

人類史の中で何を最も重要な出来事であったのかと問われたら、言語能力の獲得であると答えることができるだろう。

 

他の動物たちも、警告を伝えたり、仲間を読んだりといった程度のメッセージを音声やジェスチャーによって伝えることはできるが、具体的な詳細を伝えたり、抽象的な概念を説明したりすることはできない。このような能力を持つ言語を使うことができる人類であるからこそ、複雑な工作を行ったり、技術を伝達したり、将来の計画について示したりすることができ、それ故に、大型漁具を使って魚をとったり、長い計画的な行動を重ねて作物を育てたりすることができるのである。つまり、このような言語能力がなければ、人は、他の大型霊長類たちと同じように、主に食べ物を求めて遊動しながら、自然界から得たものだけを利用して暮らしていたはずなのだ。

 

今からおよそ1万2千年前、一部の人は大型漁具や舟を作ることで水辺に定住する生活を開始した。そうして定住しているうちに、利用価値の高い植物を身近な場所に栽培する形で農耕が始まった。定住して農耕を開始した社会では、労働力を投下することで、より多くの価値を得ることができる環境が生まれ、大型漁具の持ち主や舟の持ち主、より多くの土地を耕した者たちなどが、他者を支配できる状況が生まれていった。保存可能な食品、特に穀物は、労働力の価値を高めることになった。

 

他方では、それまで通り、遊動生活を続けていた狩猟採集者たちがいて、制度や儀礼が未発達な平等性の高い社会に暮らしていた。彼らは、農耕民と関りあいながら、数を減らしつつ、今でもまだこの地球上に残っている。

 

さて、農耕民に戻ろう。農耕民たちは、土地を耕し、技術を開発して、人工的な環境を広げていった。少しずつ人は増えていき、少しずつ耕地が拡大され、道が作られ、町が作られていった。そうして、その影響によって狩猟採取によって暮らすことのできる場場所は急激に減っていった。

 

農耕民たちは、やがて、狩猟採集者たちのように自然界で暮らす知識を失い、自然界の厳しさに立ち向かうだけの強さもなくしながら、土地に縛り付けられていった。それが弱みとなって支配者のいいなりになっていったのだ。

 

そこで活躍し始めたのが、サイコパスたちである。サイコパスたちは、連続殺人者たちと似た、冷酷でありながら、演技力に優れた性質を持つ。連続殺人者たちとの違いは、もっと賢く立ち回って、へまを打たないことである。サイコパスたちは、人々を人工環境に取り込み、そこに依存するしかない状態にしておいて、さまざまな手法によって、自分たちの利益になるように社会制度を作り上げていったのである。

 

貨幣という仕組みを考案し、法人という概念を作り、三権分立というまやかしを広め、中央銀行を作り… 

 

今や、あらゆる国家は企業の下位に位置付けられてしまった。あらゆる共同体は企業活動によってのっとられてしまった。すべての人は、生活の糧を得るためには、こうした社会の中でコマとなって利用されるしかなくなってしまった。メディアもすべてサイコパスたちの意思に沿った情報ばかりを流すようになってしまった。

 

サイコパスたちは、人々に幻想を見させることで、さまざまな技術を開発させ、彼ら望む経済活動させており、多くの人々はそうした幻想を信じ込んでいる自分こそが、知的で分別があり、適切な生き方を選んだ人間であると思い込んでいる。

 

 

霊長類たちの暮らし方と似た遊動する狩猟採集社会において人は平等であり、資源は共有であり、人は本当の意味で主権者だった。社会制度も儀礼も未発達であることは、サイコパスたちの活躍する余地がないことを示していた。

 

 

漁具や耕地の持ち主とは桁ちがいの権力を持つサイコパス達に支配されて、しかし、この人工環境から抜け出す手立てなどいっさいない文明人は、サイコパスたちの見せてくれる幻想を信じていきるしかないのだろうか。

 

もしも、人類が言語能力をなくしたならば、この悪夢から解放されることは間違いないのだが。

 

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