毎日出てゐる青い空

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カネのことを真剣に考えたら、人類史が見えたという極めて重要なお話

人類史は、遊動する狩猟採集者→定住した狩猟採集民→支配者と農産物納税者→支配者と金銭納税者の歴史

 

遊動する狩猟採集者

人の本来の生き方は、大型霊長類の一種であることや、歩くことに適した身体を持つこと、大脳が発達することを前提とすれば、群れを作って一定の縄張りを持ち、この縄張りの中を遊動しながら狩猟採集生活を送る生き方であるといえそうだ。しかし、ほとんどの人は定住生活をおくっている。どうしてだろう。その背景には、おそらくホモサピエンスになって言葉を獲得し、水産資源を本格的に利用するようになったからだろう(なぜ人類は今回に限って文明を生んだのか/文明はヒトを幸せにしたのか - 毎日出てゐる青い空)。それまでは、季節に合わせまた獲物の減少に応じて移動する必要があったが、舟で出漁すれば広い面積を移動でき、漁の成果も比較的安定していたのだろう。また、移動生活につきものの、病やケガで動けない仲間を見捨てていかなくてはならない状況を回避できるようになった点も大きかったかもしれない。

 

支配者と定住した狩猟採集民

定住生活は、大型霊長類としての生物にとって不自然であり、多くのデメリットをもたらしてしまう。しかし、大型の道具を利用できるようになる点や、多くの道具を利用できるようになる点が、遊動生活を続けるよりも便利で快適なことは間違いないだろう。こうして、定住生活を送ることのできる環境では定住生活が広がっていったようである。遊動する生活においては、平等性が重視され、人々は強制力を持つリーダーの登場しない気軽な生活を送っていた。定住は、私有の範囲を広げ、富の蓄積をもたらした。しかし、一度定住生活を初めてしまった人々が、遊動する狩猟採集生活に戻るには、もはや知識もなければ、たくましさもなかったのであろう。こうして、定住生活者は広がっていった。

 

支配者と農産物納税者

定住によって近隣の山野から植物資源が減少する一方で、農耕を開始する条件が整い、農耕が可能な地域の定住者たちは農耕を開始した。農耕は、放置しておけば森林に返るような土地に人が利用するための野菜や樹木を栽培するために多くの労力を必要とする。しかし、定住しつつ多くの植物を摂取するには農耕に頼るしかない。日々の世話は大変であっても、人工的な環境の中に身を置き、身近な場所で食料を得られるという点で、人々に快適さももたらしたのであった。より多くの食料を生産してより多くの子孫を残すという取り組みが可能になった契機でもあった。農耕の拡大は、定住によって生まれた貧富を差を拡大し、搾取されながら生きる人々を生みもしたが、農耕社会の拡大を阻害するほど支配者たちは愚かではなく、人々にそれなりの生活環境は提供されたのであった。 こうして人々は土地に縛りつけられ、野山に暮らす知恵も失われた

 

支配者と金銭納税者

こうして人々が土地に縛りつけられ、野山に暮らす知恵も失われたところで、人口増加、技術の蓄積、支配者の富の拡大と勢力の拡大を受けて、金融の時代が到来した。その全段階としては、一帯を支配する支配者が、物質的な価値の低い貨幣を作り、これを支払いの対価として流通させる試みがあった。また、貨幣の誕生に先立って利子をとって金を貸す商売も生まれていた。しかし、金融の時代が本格的に始まったのは、最初の株式会社がつくられた1602年頃からであろう。それまで土地に縛りつけられていた人々はカネに縛りつけられるようになっていった。カネのために工場に勤め、カネのために学校に通い、カネのために都会に出ていくことになった。農耕の時代にそれなりの生活環境が提供されていたように、カネの時代にもそれなりの生活環境は提供されている。頑張れば生活を改善できるのだという希望も提供されている。しかし、実態はといえば、支配者たちの意図の中でカネに縛られた生活でしかないのである。

 

農耕社会とカネ社会

農耕の時代の支配者たちは、土地を支配していた。カネの時代の支配者たちは、金融の仕組みを支配している。土地という具体的なものではなく、金融の仕組みという抽象的なものを支配することで、金融の支配者たちの姿は見えにくくなっている中央銀行や株式制度、著作権、特許など、金融の支配者たちによって作りあげられた仕組みは広く社会を覆っている。人びとは、この現代社会がカネ社会であることに気づかず、支配者たちの繰り出す嘘に騙されていく。土地から切り離されて自由になったかに見える人びとは、カネに縛りつけられただけなのである(明治六年に導入された地租改正で金納が課されたことがカネ社会の到来を象徴している)。

 

 

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