あきらめる幸せ
ほほえみが他のどの民族よりも多いピダハン
『ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観』を読むと
その生き方は私たちの考える幸せからはほど遠い。
難産となった妊婦は助けの声を上げ続けるが誰にも
助けることはできない。
病気になった赤ん坊も
もう助からないと判断されれば
大量のアルコールによって死を早められる。
寿命は短く、著者であるエヴェットに
お前たちは死なないのかと質問が投げかけられる。
しかし、このような世界に生きているからこそ、
ピダハンは幸せなのである。
なすすべがないからこそ
苦痛は短時間ですみ、
周囲への影響も軽くなる。
なすすべがなければ、
明日を心配してもしょうがない。
このような世界では、
法律、道徳、金銭などの人為的な
要素によってではなく、
自然の法則によって
人々の価値観が決まり、
生き方が決まっていく。
あきらめることで
ピダハンはたくましい肉体と精神を得て
幸せに暮らす。