毎日出てゐる青い空

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分析と実感

カラハリ砂漠に住む狩猟採集民グウィは互いの配偶者も同意して愛人関係を結ぶことがある。
子ダネのない父親に愛人関係によって子を持たせることは親切な行為であるとされることもある。
一方で、このような人間関係による葛藤を鎮めるために、血やつばを混ぜあわせ傷口に塗りこむことで
液体を交換する(「砂漠に生きる女たち カラハリ狩猟採集民の日常と儀礼」)。

彼らにとっては、液体の混ぜ合わせによる一体化が現実である。科学的分析によって、
この彼らにとっての現実を否定することは、不幸を招くことになる。葛藤は葛藤として残ってしまう。

実は、人間の精神は事実よりも、この世界と向き合っていくための物語のほうを必要としている。
分析を重ねて現実を明らかにしていくことよりも、精神の安定をもたらす世界観を受け入れ、
実感しながら生きることのほうが幸せなのである。

ここで1つ気を付けなければならないことがある。グウィ、ピダハンなど狩猟採集の平等生活を送る
人々の信じる、精霊や神は自然発生的な存在であるのに対して、支配階層を持つ社会で信じられている
神は支配のために作られた宗教になっているという点である。したがって、むしろ人間性を疎外する
存在になってしまっている。

私は平等な社会で信じられている身近な神や精霊だけが、分析を必要としない人間が
現実として感じることのできる宗教であると考える。なんとか生き残ってくれていた
狩猟採集民たちのおかげでさまざまなことが見えてくる。その1つが絶対神はいなかったという
事実なのである。

人間は裸体を恥じず
結婚に縛られず
絶対神を必要とせず
進歩を必要とせず
実感を大切にしながら、
幸せに生きられる存在なのである。

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