わずかな国が世界を占領していた戦前の地図が、現実の姿である
「世界は少数の支配者たちによって支配されている」という言葉は突拍子もないウソのように思えるかもしれない。しかし、帝国主義の数か国が世界を支配していた頃の地図を見れば、それが事実であったということがわかる。
日本の主権について真剣に考えたことがある者であれば、日本がアメリカのいいなりになっていることを痛切に感じ、しかし、敗戦国であるという歴史がもたらした日本の特殊事情がこのような主権を制限されたような状況を生んでしまっていると判断して、他の国々はもっとしっかりとした主権を持っていると考えてしまうことだろう。
実際には、戦前の植民地各国の状況は日本と変わるところはない。旧宗主国に不平等な条件を押し付けられたうえでの独立であり、旧宗主国の息のかかった政治家によって政治が行われている。
中国やロシアは違うだろうというのも間違いである。これらの国々の成立過程において、資金提供を行った人々が存在しており、そうした人々の影響力が続いているはずである。その点で、日本の明治維新は、中華人民共和国の成立やソ連の成立と通じるものがある。
法が守るのは、国家の主権や市民の権利ではなく、支配者たちの活動である。邪魔な政治家を独裁者と決めつけて排除しても罰せられることはなく、父祖から伝わる土地を守ろうとした先住民たちが殺されても、開発が止められることはない。
こういう世界に私たちは生きている。