人間は幸せにならないようにできている
Yahooニュースを見ていたら、清水ミチコの記事に面白いことが書かれていた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/72b0cd621c237cd2697dd10aa1134029701b5f23?page=2
ガムのように噛み続ける「人間は幸せにならないようにできている」という言葉
――今の清水さんが「自分が好きなことをやる」という思いを持つようになったきっかけを教えてください。
清水ミチコ: 20代前半の頃、「なんで自分ばっかり面白くないのかな、ついていないのかな」とか「バイトでせっかく貯めたお金が全部歯医者代に消える。これからもこんな人生の繰り返しなのかな」と思って、人生がつまらないと感じている時期があったんです。 その時、バイト先の尊敬する女性の先輩が「最近元気ないけど、どうした?」って聞いてくれたので、自分の気持ちを打ち明けました。「頑張れば明日はやってくる」とか前向きなことを言ってくれるのかと思ったら「いや、人間は幸せにならないようにできているのよ。だから、頑張るとか頑張らないとかじゃなくて、淡々と受け止めないといけない。良いことがあったら喜べばいい」と言われたんです。目からうろこでしたね。 今も、天変地異とかコロナとかいろいろ大変ですけど、おいしいコーヒーを飲んだりする時間があることをありがたいと感じるべきなんだと思います。そうやって私は、いまだに20代のときに言われた言葉を、ガムのように噛み続けているんです。長く続いているガムですけど。
この話と関係するのかどうかわからないが、人の本来のあり方を考えてみると、人も含め、生命は、幸せにならないのが当たり前なんだなという結論に行き着く。
生命の自然な状態というのは、他の生命とせめぎあい、他の生命を資源としながら、運が良ければ子孫を残すが、基本的に短命であり、幸せであるように思えても、不幸が待ち構えている状態である。
この100年ほどの間に、人は乳幼児死亡率をうんと低下させ、老年期になる前に命を落とす人も随分減って、信じられないほど平均寿命が延びた。ただ、これは、生命のあり方としては不自然であり、この先長く続くとは到底信じられない状況である。人類の平均寿命は縄文時代も江戸時代もさほど変わらず、チンパンジーやゴリラであっても、大差ないような状況が続いていた。
この部分を除けば、子を亡くす親も珍しくなければ、夫婦のどちらかが若くして亡くなり、再婚相手を迎えるような状況も多かったはずである。70歳を超えるまで生きる人も少なく、生命は、自然な状態であれば、多くの不幸に囲まれており、幸せにならないようにできているといってよいだろう。
生命は幸せにならないようにできている。けれど生命は、その事実に頓着せずに進んでいく。