仁和寺にて金融家たちによる侵略を目の当たりにする
私たちの周りには、偽の伝統が溢れている
ハワイのフラダンスもバリ島の踊りも、伝統とは切り離されて観光用に作られたものである。
「コンドルは飛んでいく」もTHE BOOMの「島唄」も、現地の伝統的な音楽とはまったく異質な音楽であるが、まるで代表的なフォルクローレ、代表的な沖縄音楽のような存在として広められていっている。
こうした動きと通じるのが近年の天守閣再建の動きである。日本の伝統のように見せながら、観光の目玉にして外資の稼ぎの種にしようというのが本当の目的となっている。天守閣の再建と合わせて、商業施設が整備され、雰囲気がぶち壊しになっていく。
京都の仁和寺に行けば、日本の伝統文化の雰囲気を破壊してしまう、西洋的な価値観で楽しませようとする要素がふんだんに設置されている。
西洋的な現代美術の醜悪な作品が屋外の随所に配置され、建物の内部にも、せっかくの部屋の雰囲気をぶち壊しにする作品が展示されていたり、古い仏像や襖絵にまじって、まるで美的感覚の異なる近年の作品が並べられていたりする。
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幕末に世界システムに組み込まれた日本では、学校教育といえば西洋礼賛、西洋的要素へのなじみを作り、過去の世代と断絶させて、美的感覚や人生観・世界観を西洋人に合わせて作り替えようとするものだけが与えられるようになってしまった。
そうして、伝統社会とは本質的に隔絶され、ただ単に伝統社会の要素を取り入れて、西洋的価値観に合わせた評価を行ったうえで、再生成もしくは創作されたものが、伝統として流布されていき、新しい世代は、そのウソに気付かないままで、嘘の伝統を本物の伝統であると受け入れるようになる。そもそも元の文化を味わうだけの美的感覚・人生観・世界観をいっさい養われることなく育つのであるから、嘘に気付くこともできないのである。
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仁和寺は世界遺産に指定されている。世界遺産とはすなわち、世界システム・国際金融屋の管理下におかれたという意味である。