毎日出てゐる青い空

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6月2日、西枇杷島町の祭りにて

背の高い山車を多数の提灯が照らし、若い衆たちの力でゆっくりと動く。

提灯の明かりは柔らかく、風や山車の動きに連れて動く様は

霊魂が浮遊しているようでもあった。

 

先頭にはカクシャクとした数人の老人たちの正装。

 

山車を押すのは、若い筋肉質の男たち。

 

からくりが動き、山車に乗った奏者たちによるお囃子の音が包む。

 

 

 

土手にかかる坂の下まで来て、山車は止まった。

山車の中から若い女性たちが降りる

続いて男性たちも降りてきた。

お囃子の主である。

 

明日の祭りに備えて一晩明かすのか、

それとも坂の上の保管庫まで上げるのかわからないが、

一旦休憩のようである。

 

 

地元の女性たちによって、

関係者にふるまい酒が薦められ、

山車は明りをともしたまま休息の時を過ごしている。

 

 

呼び物の打ち上げ花火が続き、

いよいよ大玉が盛んに打ち上げられて佳境を迎え

少し落ち着いた頃、

意外にも、お囃子が再開された。

 

お囃子の音とともに、山車も動き始めた。

 

まず、向きを変える。

 

お囃子隊を乗せた山車のかつぎ棒を若者たちが肩に乗せて車輪を上げ、

つっかえ棒を差し込みながら、その場で山車を180度転回させる。

 

方向転換を終えた山車は、

土手の坂を登り始める。

 

機械の力を借りるのかと思っていたが、

すべて人力だ。

 

少しでも軽くするために人が降りるのかとも思ったがそうではなく、

中に人を乗せて演奏を続けながら動かすのだ。

 

曳き綱を付けるわけでも、

わらわらと男たちが押し寄せて押すわけでもなく、

少人数の若者たちが山車を坂の上まで押していく。

 

力の限り押しながら「押してー!、押してー!!」と叫ぶ若者たちに合わせて

自分も思わず声が出る。

若者の声にも、子どもや若い女性が遊び半分に梶棒の端を押すだけであったが、

山車は無事頂上まで登りついた。

 

========

 

私が目にしたのは、

『逝きし世の面影』に描かれたような歌を歌いながらの労働でもあり、

効率性ではなく、祭りとしての有り方を大切にしている場面であり、

賑わいの底から静かな思いが浸みこんでくる、

この地の人々の信じてきた精神世界でもあった、と思う。

 

ただ機械的に押し上げればよいと考えていた私を恥じながら、

どうにも感嘆するほかなかった経験だった。

 

 

 

 

 

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