生きるということ
人は元々狩猟採集者として暮らしていた。
チンパンジーやゴリラのように菜食中心の暮らしから
少しづつ肉食を増やしてきたが
自然界の恵みだけに頼って生きていた。
この暮らしから遠ざかるほどに、
生物としての本来の姿である
食べて子を育てて死ぬという
暮らしから遠ざかっている。
農耕は狩猟採集よりも多忙であるが
まだ人は家族と暮らし、
「群れ」を作っていた。
工業化は家族を分断し、
「群れ」も壊した。
今、人は生物であることさえ
拒否したがっている。
確かに私たちは飢えのない世界や
長寿、手厚い福祉などを望むが、
それを実現しようとすることが
別の地獄を生もうとしている事実にこそ
眼を向ける必要のある
段階に達したのだ。