人は動物 動物として生きる幸せ (脱文明論)
子どもは遊びが好きで
遊びながら身体感覚を身につけ
生きる喜びを知っていく。
子どもに必要なものは
存分に遊ぶことのできる環境である。
親は子どもを存分に甘えさせながら育て、
子どもは生きる確信を得ていく。
私たちは甘えることで
やっと心ができていく存在である。*
子どもは見守られながら自由に遊び、
試行錯誤と見よう見まねを通じて
自分の特性を知り、技術と知識を身につける。
命の事実は、遠い将来の黄金の時を夢見る変わりに
日々の生活を楽しみとし、
日々の生活から生命の充実を知りなさいと呼びかける。
生命の充実感を与えてくれるのは、
獲物や捕食者、敵と相対するときの興奮であり、
頭と体を働かして生きる確かさであり、
空腹や天候と向き合って我慢の時を過ごす時間である。
私たちを包む世界は、
食べものを与え、
住みかを与え、
必要なものすべてを与えてくれていた。
この世界に暮らしながら、
病気やケガに耐えて
運よく生き延びてきたとしても
肉体の衰えはあっと言う間にやってくる。
もう死は遠くないのである。
動物たちはおよそこのような生を送っている。
人類も長い、狩猟採集生活の間、およそこのような生を送ってきた。
私たちが生きものらしく生きるためには、
ぜひともこのような生き方をする必要があるといえる。
なぜなら、私たちは肉体によって生きているのであり、
身体について知らなければならないからである。
私たちは自分自身を大切にして初めて
社会性を持つことができる存在であるからである。**
私たちは体を使っていることでしか
精神の健康を保てない存在であるからである。***
私たちは自ら経験して初めて他者の心を推測できる存在だからである。
私たちの生は突然断ち切られる可能性を大いに持っているからである。
私たちは保護すれば衰退し、耐えれば強くなる肉体を持っているからである。****
定置式漁具の発明や木の実の貯蔵を通じて
中緯度地域で始まった定住生活は農耕と文明を生んだ。
文明は人の生き方を歪め始めた。
今、文明は私たちの生を存分に歪めている。
子どもから子ども時代を奪い。
受験戦争や住宅ローンに一生を奪われていく。
金の力は人をガンジガラメニし
技術力は人の逃げ場を消していく。
こうして、生の実感から遠ざけられた生を送って、
老人は生に固執するしかなくなっている。
人が山に登るのは、
日常生活から失われた生の充実を得るためであった。
*『愛は化学物質だった!?』/『みんな輝ける子に』
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** テレフォン人生相談 2014年7月3日/2015年6月11日など
*** 森田療法
**** 『自然に聴く: 生命を守る根元的智慧』