毎日出てゐる青い空

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大規模化によって見えなくなっている

私たちは、農業の近代化や品種改良、さらには遺伝子操作によって

食糧を増産することで、食糧問題を解決できる気になっている。

 

たとえ、そこまで楽天的ではなくても、

自分たちが困ってから対策を考えればよいくらいに考えている。

 

 

『小麦は食べるな』を読んで始めて知ったのだが、食糧難をある程度

回避している背景には、小麦の単位面積当たり収量が大幅に向上した

ことがあるらしい。 

 

 それと同時にこの小麦は小腸の壁に穴をあけてしまう粘り気を持った

小麦であり、多くの病気の原因にもなっているという。

 

 

日常生活では意識していない、遠い世界での変化が私たちの生活に大きく

影響している例として、この小麦の例を挙げたのだが、同様のことは生活の

あらゆる面で発生している。

たとえば、私たちの食べ物はプランテーション作物、養殖された海産物、

工場のような場所で抗生物質にまみれて生みだされる肉・卵・乳、

熱帯雨林を切り開いて作られた場所で作られるシロップなど、

環境破壊と環境汚染の産物として生みだされる食べ物の割合が

どんどん高まっている。

 

 

こんなことが可能なのも、私たちの社会が大規模化して

現実を見えなくされているからである。

私たちが、ほんの百年前のように、目の前で作られた食べ物を食べ、井戸や泉の

水を飲んで生活していたなら、食糧増産によって問題が解決するなどとは決して

考えなかっただろう。

食糧を増産するために森を切り開けば、燃料となる薪が減り、水量が減り、

ウサギやサカナを食べる機会も減ってしまう。

そのような世界に生きるとき、私たちは今とは違う価値観を持つはずである。

そこでは、自己を実現していくことよりも、生かされている環境を知ることや、

集団や他の動物たちのために自己の欲望を抑えたり、調整したりすることの

ほうが意味を持つはずなのである。

 

大規模化して見えなくしたところで、

私たちの生きる世界は、

密接に関連しあう生物の活動の中で、

私たちの行動一つ一つが直接明日の食べ物に影響を与えるような

極めて制限の多い世界でしかありえないのである。

 

 

 

 

 

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