数のない世界
私たちは日々数字と向き合って生きている。
年月日
時間
得点
偏差値
ノルマ
価格
税金
体脂肪率/体重/血圧
当たり前すぎで数のない世界を想像することは少ない。
数がないならどう過ごせばよいのかわからないほど、
数に囲まれ、数に操られて生きている。
だが、数で表すことの危険性は計り知れない。
数は本質でもなければ、絶対的な意味を持つものでもないのに、
数としてあらわされた時点で数が本質よりも意味を持つものとして
扱われ始める。
腹が減ったから食べるのではなく時間が来たから食べ、
年収が良いからと職を選び
偏差値が高いからと学校を選ぶ。
数字で操られた世界では
数字に従って生きることが
幸福をもたらすと幻想がばらまかれる。
数字にしてしまえば確かに効率が上がる。
だが、効率を上げることが
すなわち本質を捨てることであると
数のない世界に触れて私たちは知るのである。