これからの正義の話をしよう
二人の見知らぬネアンデルタール人が出会い、
一方が他方を追い払う。
別の時、また二人が出会い、
今度は互いに距離を開けてすれ違う。
また、別の時には、
一方が見つけた水場で
順番待ちをするかもしれない。
二人にその場その場で優劣がついたとしても
どちらに正義があるのでも不正義があるのでもない。
ただ、場面ごとに状況に応じて対立が解決または回避されるだけである。
言葉ができ、文明が生まれた結果、
事情は複雑になり、「正義」という概念を生む。
中には「これからの正義」という不思議な題名の本まで生み出され、
平積みになって売られていく。
事実は、正義などどこにもなく、
言葉を生む以前から存在していた、
場面ごとの対応があるだけである。
これからもこれまでも「正義」などないのである。