『自然に聴く:生命を守る根元的智慧』
今回から、露木裕喜夫氏の遺稿をまとめた本
『自然に聴く:生命を守る根元的智慧』から内容を紹介していきます。
本書と著者の詳細いついては、メールマガジンのバックナンバーを参照してください。
今回は、第一部「自然理をさとる」の「「自然のしくみ」から暮らしを見直す」」からです。
公害のない健康な食べ物をぜひ欲しいという東京の主婦たちと、千葉県三芳村の農家代表による第一回打ち合わせでの発言です。
「化学肥料と農薬を使わないことも、方法の一つですが、健康という本質論は、<大自然>が教えている本来性に基づくか、人間の知恵(欲とご都合、 手っ取り早さ、人マネ)の範囲に閉じこもるか、ということを抜きには論じられません。これまでのやり方の手直しではなく、人間の考え方を根底から変えなければならない。つまり<大自然>の秩序・道理に基づかなければ、中途半端ではアブもハチもとり得ない。それには<自然>のやり方を、まず知らなければはじまらないのです。いま騒いでいる公害は、結果でしかありません。その公害を公害たらしてめている根本原因は、現代文明人の反自然反生命的身勝手、近視眼、感違い、それ自体にあると見るのが、ほんとうではありませんか……。」
この言葉は、今の社会でもそのまま通用します。
原発がいやだからといって、風力発電や太陽光発電に目を向けても、何も解決しません。現代文明の反自然反生命的身勝手を顧みず、電力に頼って一日中活動を続ける生活を肯定する限り、問題は解決しません。
人間の活動をより自然に近づける方向の変化でなければ、どんなに便利で快適な発明に思えても、本当は矛盾を増やし、問題を大きくしているだけにすぎません。
今でも、<大自然>の秩序・道理に基づく考えでなければいけないということを意識している人はほんのわずかなのではないかと思います。むしろ、以前にもまして、いつか人間は<大自然>の秩序・道理を科学技術によって超越できるという考えが強くなっているのではないでしょうか。
私はこの言葉を以上のように解釈しました。
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