未開人が大きな数も自分の年齢も文字も知らないということ

私たちの生活は複雑であり、

数多くの書類を処理する必要があり、

知らなければならないことがたくさんある。

こんな私たちからすれば、

大きな数を知らず、文字も自分の年齢も知らない

未開生活を送る人々は

いかにも遅れた知能の低い人々に思えてしまう。

ところがそれは大きな誤りであった。

私たちは、食べられる植物と食べられない植物を見分ける

必要のない世界に暮らす。

私たちは、ヒルに吸われることも、サソリに刺されることもない

世界に暮らす。

私たちは、動物の行動を観察したり、習性を覚えたりする

ことのない世界に暮らす。

私たちは、薬になる植物を知る必要も使い方を知る必要もない

世界に暮らす。

つまり、私たちは甘やかされて、

緊張感も想像力もそれほど必要とされずに暮らしているのだ。

私たちは金を出せばたいがいのものが手に入る

環境に暮らしている。

私たちが遅れた人々であるとみなしがちな人々は

自力でなんとかしなければならないことの多い

環境に暮らしている。

コンピュータを操ることよりも

日々の糧を野山から得ることのほうが

難しい行為だったのだ。

コンピュータの普及で文字を手で書かなくなって

漢字を忘れたという人は多い。

大きな数、自分の年齢、文字。

これらと無縁な生活を送る人々は、

便利さを知らない代わりに

頭脳を活発に働かせている

人たちなのかもしれない。

毎日出てゐる青い空