ふんだんに食べて味覚が変わった話
味覚は不思議だ。
昔、アイスコーヒーのつもりで飲んだらコーラが口に入ってきて
びっくりしたことがあった。
経験したことのない味だった。
飲みなれた飲み物も、意識ひとつでまったく違う味に変えてしまう。
味覚は不思議だ。
塩気が強すぎるととても食べられなくなるのに、
甘みはかなり強くても平気なことが多い。
単に化学的な性質によるのかもしれないが、
人体に害を及ぼすほどの糖分を味覚は受け入れてしまう。
味覚は不思議だ。
さて、ふんだんに食べた話。
ある夏、トマトをふんだんに食べた。
昼と夜の2食、トマトを主菜にするくらいにたくさんたべ、
ひと夏食べ続けた。
不思議なことに、それまでよりもトマトを好きになっていた。
手に入るものを楽しく食べられるように味覚が変わるのか。
体質にあった食べ物だからおいしくなるのか。
とにかく、飽きるどころか、トマトをおいしく感じ始めたことは
ひとつの驚きだった。
食べ飽きるとはどういうことか。
今の自分の味覚はまともなのか。
味覚が変わることにどんな意味があるのか。
さまざまなことを考えさせてくれる経験だった。