毎日出てゐる青い空

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「ニューギニア高地人」から

日本に住む外国人が増え、

日本人も外国語を学んで外資系企業に就職することや

社内公用語を英語にするという企業も登場した現在、

ニューギニア高地人』は出版当時とは別の意味を

持ってきたように思います。

 

調査地のウギンバには、ダニ族とモニ族が住み、

アヤニ族が交易に訪れます。いずれも肉体的に似た特徴を持ち、

互いに英語とドイツ語程の違いを持つ言語を話しますが、

決して混住しているわけではありません。

 

それぞれにまとまった地域に住むなかで

たまたまウギンバがダニ族とモニ族の分布の境界に位置し、

ダニ族が半ば強引に住み着いたに過ぎません。

 

著者たちのテントを訪問する際も、

一方の部族の者が訪問しているときは、

原則もう一方の部族の者は訪問しません。

 

しかし、完全に無視し合って生活しているわけでもなく、

ときには、3部族が一軒の家の庭に集まって談笑する

こともあります。

部族間での交易もあります。

 

しかし、他の部族や部落より、自分たちのほうが

良い人間だと言い張ります。

 

このようにみてくると、どうやら、

一つの地域に複数の民族が混住することは難しいようです。

アボリジニ、ネイティブアメリカン、台湾の先住山岳民族なども

部族ごとにテリトリーを持っており、混住ではなかったようです。

 

おそらく、異なる民族が入り混じって住む状態は

異常な状態であって、日常生活を送る社会に住む相手は、

同じような人々であることが望ましいのでしょう。

 

ある日、住みかをなくしたことに気づきたいないのであれば、

モニ族がダニ族を追い返そうとしたように、

異民族を追い返す努力をしなさいと

ニューギニア高地人』は伝えているように思います。

 

 

もう1点は、モニ族とダニ族の暮らし方の違いです。

モニ族は家族単位で暮らし、畑も雑草だらけである一方で、感情表現が豊かで

親しみやすい性格です。

ダニ族には、男の家という集団生活の場があり、

几帳面な畑を作る一方で、モニ族のような親しみやすさはありません。

一方、ダニ族は美しいコーラスを歌い、団結力があり、戦争に強く、

大きな部族になっています。

 

この2部族の様子は、

狩猟採集民が農耕民に追いやられ

農耕民の中でも、組織化の進んだ側が優勢になり、

さらに権力が拡大されていく一方、

この中で洗練された芸術や文化も生まれてくるという

大きな流れの一部を示しているように思われます。

 

この流れの先で、ほとんどの人間をロボット化しようとする

動きが現実的になってきています。

 

人間は、進化の流れに身をまかせることのできない

存在であるという、厳しい認識が必要なのかもしれません。

 

私が現在のことに集中し、がピダハンの生き方に、強く惹かれるのは、

このような考えがあるためです。

 

久しぶりに読んだ『ニューギニア高地人』は、

遠い世界の話ではなく、きわめて現実的で

身近な世界の話でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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